奈良といえば可愛い「鹿」。そんな可愛い鹿をモチーフにした「張り子の鹿」がかつては奈良の郷土玩具お土産として販売されていました。

張り子の鹿は紙を何枚も張り合わせた本体に割り箸で出来た足、ツノは紙で固められ、無造作に茶色の絵の具で塗られ白色で鹿子の点々模様がとても素朴で愛らしいものでした。

私は奈良の懐かしいお土産コレクションの一つとして張り子の鹿を20体所有しています。どれも同じ模様や形がなくクスッと笑ってしまう場所に目の位置があったり、ぽっちゃりな子や華奢な子もいたりと不揃いな具合が何とも狙いを定めたアート作品でない溶け込むような存在だったことに心惹かれてしまいます。

当時の納品する側も販売する側も大らかな気持ちが普通だったのかなと思うと羨ましくも思います。きっと買う側もどの子にしようかと選べる楽しみも持てたのでしょうね。

張り子の鹿は江戸時代からあったといわれていますが、本当のことは私にはわかりません。きっと交通の便がない時代には軽くて奈良らしいお土産として当時は喜ばれていたのでしょう。

そんな不揃いの素朴な張り子の鹿はいつの日かひっそり消えてしまい、今では復刻された張り子の鹿が販売されているのを奈良で見かけるようになりました。誰かが忘れない存在を再び表すことはとても素敵なことですよね。

私のもつ当時の張り子の鹿は販売はしておりませんが、お店に飾っておりますのでぜひご覧になってくださいね。

 

 

 

わたしの奈良collection